ファッションが好きで、「将来はアパレル関係で働いてみたい」と考えている人もいると思います。
おしゃれな服に囲まれて、お客様にコーディネートを提案する。外から見ていると華やかな仕事ですが、実際に働いている人に話を聞いてみると、仕事内容とは直接関係なさそうなところにも「へー」となる話が結構ありました。
今回は、実際にアパレルスタッフとして働いていた人から聞いた話を紹介します。
これを知ったからアパレル業界への就職に有利になる……というものではないかもしれません。でも、**働いてみないとなかなか分からない「アパレル店員の日常」**として楽しんでもらえればと思います。
「それ、私も持ってます!」は、本当に持っているとは限らない
服を買いに行ったとき、店員さんからこんなことを言われた経験はないでしょうか。
「それ、私も持ってます!」
言われるとちょっと安心します。
「店員さんも買うくらいなら使いやすいのかも」「人気の商品なのかな」と思って、少し欲しくなる。
ところが話を聞いてみると、実際には持っていなくても「私も持っています」と言うことがあるそうです。
もちろん、本当に持っている場合もあります。ただ、お客様に商品の使いやすさや人気を伝える方法として使うこともあるとのこと。
特に使われやすいのが、コーディネートの主役になる商品というより、インナーやシンプルなトップスなどの「何にでも合わせやすいアイテム」です。
「これ私も持ってるんですけど、かなり合わせやすいですよ」
と言われると、その服を実際に使っている人からアドバイスを受けている感覚になります。
接客というと「商品の特徴を説明する仕事」と思いがちですが、実際にはお客様が買った後の生活を想像しやすくすることも接客のひとつなのかもしれません。
次に「私も持っています」と言われたら、本当におそろいなのかは……店員さんだけが知っています。
女性ばかりの職場すぎて、配送業者と合コンしたことがある
次は、仕事そのものとは少し離れた話です。
女性向けのアパレルショップで働いていると、スタッフはほとんど女性。来店するお客様も女性が中心です。
そのため、職場にいるだけだと男性と話す機会が驚くほど少ないそうです。
商業施設で働いていれば、休憩スペースや従業員食堂で他店舗のスタッフと会うことはあります。ただ、毎日見かけるからといって、知らない店舗の人に突然話しかけることもなかなかありません。
そんな環境の中で、比較的よく顔を合わせる男性がいました。
商品を届けに来る配送業者のスタッフです。
荷物を受け取るときに少し話す程度ですが、店舗によっては同じ担当者が何度も来るため、「こんにちは」「今日多いですね」くらいの会話から少しずつ顔見知りになります。
そしてあるとき、その流れから仲良くなり、配送業者の人たちとアパレルスタッフで合コンをしたことがあったそうです。
「毎日荷物を運んでいるから、みんな体格がよくて男らしく見えた」という話まで聞きました。
華やかな商業施設の裏側で、アパレルスタッフと配送スタッフの交流が生まれている。
言われてみれば自然な話なのですが、なかなか想像しない職場の人間関係です。
社割はうれしい。でも「欲しい服を買えばいい」わけでもない
アパレルで働くメリットとしてよく聞くのが「社販」です。
自分が働いているブランドの商品を、通常価格より安く買える制度です。割引率やルールは会社によって異なりますが、ファッション好きなら魅力的に感じる人も多いでしょう。
さらに店舗によっては、接客中に自社の商品を着る必要があります。
つまり服を買うことが「趣味」だけではなく、仕事の一部になることもあります。
そこで意外と発生するのが、スタッフ同士の服かぶり問題です。
自分が「これ欲しい!」と思った商品を、先に別のスタッフが買っている。
別に同じ商品を買ってはいけないわけではありません。でも、毎日同じ店舗に立つスタッフがみんな同じ服を着ていると、店頭の見え方も偏ってしまいます。
そのため、本当は一番欲しい商品があっても、
「○○さんが買ったから、私はこっちにしようかな」
と別の商品を選ぶことがあるそうです。
お客様から見ると「店員さんって好きな服を安く買えていいな」と思いますが、実際には自分の好みだけでなく、店舗全体のバランスまで考えながら服を選ぶことがあるわけです。
アパレルスタッフ、メルカリの商品説明が妙にうまい説
そして個人的に「なるほど」と思ったのが、メルカリの話です。
アパレルで働いていると、当然服が増えていきます。
さらにシーズンが変わると、前シーズンの商品を店頭で着づらくなる場合もあります。その結果、着なくなった服をフリマアプリで売る機会が増える人もいるそうです。
特に中古でも需要があるブランドで働いていたときは、かなり頻繁にメルカリを使っていたとのこと。
そして、ここで職業スキルが発動します。
商品説明がめちゃくちゃ書きやすい。
もともと自分が店頭で販売していた服です。
素材も知っている。
シルエットも分かる。
どういうコーディネートに合わせやすいかも知っている。
「少しオーバーサイズなので、中に厚手のトップスも合わせやすいです」
「ハイウエストなので、短めのトップスとの相性がいいです」
といったことを普通に説明できます。
普段お客様にしていた接客を、そのまま商品説明欄に移せるわけです。
もちろんすべてのアパレルスタッフがメルカリを頻繁に使っているわけではありませんが、「服を売る仕事」は、個人で服を売るときにもそのまま役立つというのは面白いところです。
アパレルの仕事は「服が好き」だけでは見えない部分が結構ある
今回聞いた話は、求人情報に載るような仕事内容ではありません。
「それ私も持っています」が接客テクニックとして登場したり、配送業者との交流が意外な出会いになったり、社販なのにスタッフ同士で服がかぶらないよう気を使ったり。
こういう話を聞くと、仕事というのは、仕事内容だけでは説明できない部分がかなりあると感じます。
アパレルスタッフなら、服を売ることだけではなく、毎日コーディネートを考えること、人と話すこと、商品の魅力を言葉にすることも仕事の一部です。
逆に言えば、将来アパレルで働いてみたい人は、「服が好きか」だけではなく、
「人と話すのは好きか」
「毎日服について考えるのは楽しいか」
「商品の良さを誰かに説明するのは好きか」
そんなところまで想像してみると、実際に働く姿が少し見えてくるかもしれません。
まとめ|求人票には載っていない「働いてみないと分からない話」がおもしろい
今回紹介したのは、あくまで一人のアパレルスタッフから聞いた経験談です。ブランドや店舗、働く環境によって事情はかなり違うと思います。
それでも、「実際にその仕事をしている人に聞かないと分からない話」には、その仕事のリアルが少し見えます。
進路を考えるときは、給料や勤務時間、仕事内容を見るのももちろん大切です。
でも興味のある仕事があるなら、実際に働いている人に、
「働いてみて初めて知ったことってありますか?」
と聞いてみるのもおすすめです。
求人情報には絶対に書いていない、意外と面白い答えが返ってくるかもしれません。
